はじめに
こんにちは!
STORES 株式会社 リテール本部でエンジニアリングマネージャー( EM ) をしています、藤井( daitasu )です。
STORES はいま、会社全体が400名を超える規模であり、エンジニア部門だけでも100名以上の人数が在籍しており、ここ数年で組織として非常にスケールをしている会社になります。
こうしたスケール中の組織の中では、組織体制の変更も時としてあり、EM として新しい開発チームに後からJOINする、ということも度々あります。
新しくできたチーム、または、既に醸成しているチームに EM としてJOINする、というのはプロジェクトやカルチャー、メンバーステータスなど把握しないといけないことが山程あります。
こうした情報を早期に吸い上げておくことは、プロジェクトの進行としても、チームメンバーとのコミュニケーションの上でも、円滑に進めていく上で重要です。
本日は、そうした 新しいチームに EM として入っていく際に、各メンバーと 1on1 を行い、初回に聞いていること のフォーマットを紹介していきます!
何を把握したいか
「主観
と 客観
の両面からその人のチーム内での大事にしていること、発揮したいと考えているバリューやチームに対して感じていることを確かめたい。」
というのを大きなテーマとして初回の 1on1 についてはある程度のフォーマットを持って行っています。
具体的には、JOINしたチームやメンバー、プロジェクトの解像度を上げるために、以下のようなことを意識してヒアリングしたりしています。
チーム
の健康状態- チームはいま 健全に回っている のか
- 納得の行くパフォーマンスが出ているのか
- その認識はプロダクトマネージャーなど、ステークホルダーとも一致しているのか
- チーム全体としてプロジェクトの長期化による疲弊やマンネリ化などないか
- このチームの長所、短所
- 組織が向かいたい方向と、チームが向かおうとしている方向 は一致しているか
- チームはいま 健全に回っている のか
メンバー
の健康状態- 元気 か
- 精神的・体力的なしんどさはないか
- 自己認識と他者認識のズレはないか
- いまの仕事の どこに高いモチベーション を置いているか
- 個人が いま成し遂げたいと思っているミッション はなにか
- 個人が いま期待されていると認識しているミッション はなにか
- 個人に対して、 EM が入る上で事前に留意しておくべきことはないか
- 元気 か
プロジェクト
の健康状態- オンスケで進んでいるか(順調なのか、懸念を抱えているのか)
- 品質面での課題感はないか
- 抜け落ちている課題はないか
- 漠然と不安を感じている解像度が荒い部分はどこか
- 開発の進め方ですぐに改善を図れそうな部分はどこか
自分( EM )
に対する期待値- これから入る EM に対してメンバーが期待することはなにか
- 逆に EM が深く介入しないほうが良い箇所はあるか
- 自分がここで立ち回りで動いていくべきか
こうした各状態を掘り下げていきます。
「O'Reilly Japan - エンジニアリングマネージャーのしごと」という書籍の中で、 1on1 を通じて 「自分の見解」「チームの見解」「上司の見解」のスナップショットを作成しよう という項目があるのですが、このイメージが近いです。
EM は役割の一種だと捉えているので、図のような上下のニュアンスはあまりないのですが、そうはいっても 新しい EM が入ってくるというのはチームからすると異物感があるもの かなと思っています。
上図の上司部分をステークホルダー(プロダクトマネージャーやビジネスサイド、デザイナーなど)に置き換えて、
- プロジェクトやチームの健康状態
- 各メンバーの大事にしている価値観
などを多角的に捉えることで、そのチームの強みや大事にしている価値観などは壊さないよう、かつ組織の向かいたい方向に向けてブーストしていくために何ができるかを考える。
初回の 1on1 はその準備として非常に重要です。
実際の進め方
1on1 はDocに書く
これは初回に限った話ではないのですが、 1on1 は常に Doc に残すようにしています。 目標やチームのことについて話すときもあれば、ただただ雑談をするときもありますが、
- 何を話したっけ?がメンバーと自分の中でずれないようにする
- 事前に「今度話そう」と思ったことを好きなときに書ける場所を作っておく
という目的があります。
初回 1on1 で聞いていること
ここからが本題です。 実際に初回 1on1 でおよそ個人的にフォーマット化している項目を書き連ねてみます。
自身のチーム内での役割はどんなところか?
- この質問は、そのメンバーとの期待値合わせの意味を込めています
- メンバーが認識する、
自分のチーム内での強み、何に比重を置いて仕事をしていきたいか
、本人の視点から見た自分のポジション
を理解していないと、仕事上での ミスコミュニケーション に繋がります - 逆に、
本人が描くバリュー
と、会社としてお願いしたい期待値
が線上で一致していれば、より働きやすい環境になる と考えてます
今後自身としてはどんなことを担っていきたいか?
- 1つ上の問いが As is だとすれば、こちらは to Be についてです
本人のいまの仕事
と、自身がやりたいこと
に乖離があればそれは極力解決したい です- to Be でやっていきたい部分が明確にあれば、それも踏まえた組織としての期待をどんどんお願いしてお互いに良い関係性を作っていくことができます
- 本人の高いモチベーションが継続する環境で働ければ、それが一番高いパフォーマンスにつながる ともいえます
このチームで仕事をしていて気に入っていることは何か?
- 組織体制が変更されるタイミングは、チームとして当たり前になっている事柄、現状の良し悪しを見直す良い機会 です
- EM がJOIN する場合に限らず、新しく誰かが入社するときなども含め、定期的にチームの動き方を見直すタイミングは、振り返りなどを除けば、メンバーが変わるときが多いかと思います
- EM が入ってまずやるべきことは、 「課題の整理」「何に注力していくか」「チームとしてのゴール状態」 などを決めていくところからだと思ってます
- しかし、 私が急に入ってきて何もかも更地にして、 「では、0から作り直して再定義しましょう!!!」みたいなのは最適解ではありません
- チームが試行錯誤して変化していくことは重要ですが、何よりメンバーにとって納得感のある変化でないといけません
- チームが大事にしていることや強みを保ち、開発スピードを上げていけるような整地化・可視化、課題の整理などを推し進めるために、抑えておきたいポイントです
逆にこのチームで気になっている、改善したいことは何か?
- 上述の通り、体制が変わるときは、 当たり前になっている事柄、現状の良し悪しを見直す良い機会 です
- 個々人がなんとなく改善したいと思っていても、まだ言語化されていない課題、普段の振り返りでは拾えていない問題があるかもしれません
- そういう観点で、事前にこのヒアリングも大事にしています
daitasu ( EM ) にぜひやってほしい、もしくは期待することはなにか?
- EM としての役回りは、「
会社としての成長に向けた組織づくり
」「組織目標の達成
」「チームメンバーの成長機会の形成
」など色々あります- しかし、 具体的なアプローチは、入った組織やチームでぜんぜん違うものになる とも思います
- そもそもメンバーは自分に何を期待するのか を先に聞いておかないと、行動のミスコミュニケーション、期待値のズレが起こってしまいます
- ここで聞いたことも含めて、自分のミッションや立ち回りを定義していきます
チームに入っていく上で daitasu ( EM ) が気をつけたほうが良いこと、留意点はなにか?
- これはあれば、位の温度感で聞いているものです
- 入る上で知っておいたほうが良いこと、チームの流儀や個々人が先に伝えておきたいセンシティブな情報などマネージャーに事前に知っておいてほしいことがあれば、チームJOINの前にキャッチしておきたい、という意図で聞いています
今後の1on1 について
- 1on1 はカルテみたいなものです
- プロジェクト・チーム・メンバーの健康の把握はもちろん、組織目線でのベクトルのすり合わせやより良い期待値合わせとして、 継続することで 効果が出てきます
- 今後の1on1 について、頻度は人それぞれで違ったりするので、すり合わせておきます
ほかに相談したいこと、聞きたいことなどあれば
- 初回はこのように色々アジェンダを持っていきますが、すでに話したいこと、相談したいことがあるかもしれません
- 1on1 の中で雑談ベースで何かあれば聞いたりしつつも、最後に改めてこの項目を置いています
おわりに
私が EM として新しいチームに混ざるときに、各メンバーと 1on1 を事前にする際の初回フォーマットについて書いてみました!
まだまだ模索中ではありますが、 1on1 や普段のメンバーの仕事をより良いものにしたく、今後も試行錯誤していければと思います。
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