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難しい課題に取り組むために必要なものは?w/fukabori.fmのiwashiさん【ep.15 #論より動くもの .fm】

CTO 藤村がホストするPodcast、論より動くもの.fmの第15回を公開しました。今回はfukabori.fmのiwashiさんをゲストにお招きし、課題の取り組み方、問いを立てる難しさについて話しました。

 

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テキストで読みたい方は下記からご覧ください。

経験をつまないとわからないありがたさ

藤村:みなさん、こんにちは。論より動くもの.fmです。論より動くもの.fmは、僕、藤村が技術とか技術じゃないことについてざっくばらんに話すPodcastです。今日はfukabori.fmのiwashiさんが来てくれています。iwashiさんよろしくお願いします。

iwashi:よろしくお願いします。

藤村:前回、僕がfukabori.fmに出演させていただいた時、収録後が一番盛り上がりましたね。

iwashi:盛り上がりましたよね。

藤村 : 楽しかったですよね。今日はあの時のバイブスを復活させられたら面白いなって思ってたりもするので、脱線しまくりな感じで話せればなと思います。

iwashi:わかりました。

藤村:今日話してみたいのは、我々はいろんなことに問題意識や関心があって、本を読んだり記事を読んだりするじゃないですか。何に、どういう風に興味を持っているのか。例えば今興味があるものって、どういう課題意識で関心を持ったのかとか、長期的に持ち続けている関心ってどういうものがあるのかとか。あとは偶然見つかる課題というか、この観点あったわーみたいなのあるじゃないですか。

iwashi:ありますね。

藤村:そういうのってどうやってiwashiさんは仕入れているのかを聞いてみたいんですけど、最近どんなことに関心があるんですか?

iwashi:最近は重いテーマですけど、なんで組織ってこんなに変わるのが難しいのかですね。僕は本業では大きな企業に勤めているんですが、大きな企業って歴史があるじゃないですか。すると、数十年くらい溜まってる組織的負債があるんですよ。これにどうやって向き合うのかはよく考えますね。

藤村:その分野って先人の知恵みたいな、体系的なものがあるじゃないですか。そういうのだとどんなものを見たりするんですか?

iwashi:めっちゃわかりやすいのだと、組織変革って例えばジョン・コッターとか何人かがやり方を謳っているので、そういう王道のものを見ます。でも、実際に試しても全然うまくいかないケースもあったりするので、結果的にわりとアジャイルに、変化と適応して実験するみたいなことを繰り返す方が多いですね。

藤村:最近僕もいろんな事情があって経営戦略の本を読んでるんですけど、先人の知恵が何種類かあるんですよね。だいたい同じようなことを言っているようにも見えるんですけど、とはいえそれぞれ違うっていうのが面白いなと。経営学や経営戦略は人間が集まって行動するとこうなるみたいなものをケーススタディや研究していて、すごく面白いなと思って。

iwashi:めっちゃわかります。これ見たことあります?

藤村:これね、5年くらい積んでたんですけど諦めて売りました。

iwashi:僕も似てて、数年前に買ってずっと積んでたんですよ。去年改めて見直したら「これ全部書いてあるじゃん」って思って。時間を経て読んで、去年のベストブックになりました。

藤村:そういう本ありますよね。これに全部書いてたじゃんみたいな。

iwashi:書名を言ってなかった。『組織行動のマネジメント』スティーブン・P・ロビンスという方の本です。

藤村:MBAの組織行動の定番教科書なんですよね。

iwashi:そうです。

藤村:エンジニアとしてはまじで悔しいんですけど、MBAのテキストにいろんなことが書いてあるってのは本当そうなんですよね。

iwashi:ただ面白いのは、基本的に特に組織行動や社会科学の分野って、国とかの文脈に依存する内容がめちゃくちゃ多いじゃないですか。だからまんま(そのまま)適用してもうまくいかないので、参考に一部取り入れて実験してみるみたいな感じですね。特に意思決定とか、いかにパワー、権力とかが依存してくるかとかってもう国によって全然違うので。

藤村:なんかそういう本あったな。お国柄によって意思決定の形がだいぶ違うみたいなことを書いてた本があったんですけど、思い出せない。最近僕はこれを読んでます。

iwashi:『戦略サファリ』。

藤村:そう、ヘンリー・ミンツバーグですね。経営学系の本だとミンツバーグが一番気持ちが伝わるな、自分には。

iwashi:めっちゃわかる。ミンツバーグは実学というか実践型の人ですよね。

藤村:セオリティカルになりすぎず、かといって現場べったりすぎないっていうバランスが面白いなと。

iwashi:めっちゃわかります。ミンツバーグの対局にあたるのはピーター・ドラッカーだと思うんですけど。

藤村:ああ。

iwashi:ミンツバーグの本をいっぱい読むとドラッカーのディスが半端じゃないんですよ。

藤村:なるほど。

iwashi:ドラッカーの書籍って「マネジメントとはオーケストラの指揮者です」みたいなことが書いてあるんですけど、そんなものは存在しないってどこかに書いてあったような気がする。(追記:『マネジャーの実像』より)

もしマネジャーの仕事にオーケストラの指揮者と似たところがあるとすれば、それは、客席の観客も含めて全員が理想どおりに行動するコンサート本番の勇壮な指揮者の姿ではない。ありとあらゆる不都合が立て続けに持ち上がり、そのたびに迅速に修正しなければならないリハーサルのときの姿だ

ヘンリー ミンツバーグ. マネジャーの実像 (Japanese Edition) (Kindle Locations 1149-1152). Kindle Edition. 


藤村:ドラッカー、まじで読んでないんですよね。

iwashi:そうなんですか。

藤村:1冊しか読んでないです。1冊だけ好きなのがあって、ドラッカーはもともと歴史家なんですよ。

iwashi:知らなかったです。

藤村:ドラッカー名著集の中にある『ポスト資本主義社会』なんですけど、経済史みたいな感じで、面白いです。読んだのは10年前くらいですけど、モノを作って売る資本主義の社会が知識社会になっていて、知識労働者が重要になってくるんだよね、みたいな話を、すごい昔に書いている。未来予知かよって感じの本なんですよ。これ結構面白いですね。

iwashi:僕のポチるリストに入りました。

藤村:これと『How Google Works』を一緒に読むと、ドラッカーが想像してた世界がGoogleで実現したみたいな感じで、面白いっていう。

iwashi:ドラッカーってマネジメントとか、いくつか代表的な方だと思うんですけど、割と理想論を語っている気がしていて、真面目に読むとお腹が痛くなる系なんですよ。いや、できてないわっていう感じの、そんな印象が僕はありました。

藤村:なるほどなぁ。

iwashi:ミンツバーグは、寄り添ってくれる感じがするので、勇気づけられる印象がありますね。

藤村:ミンツバーグの『マネジャーの仕事』って本もすごい好きで、マネージャーって大変だよねっていうのを実証したみたいな本で、あれも面白かったな。

iwashi:いいですね。

藤村:最近、認知行動療法に興味があって。認知行動療法って日本だとそんなにメジャーじゃない感じですけど、アメリカだとうつ病の第一治療選択肢らしいんですよ。ちゃんと医学的にもエビデンスがあるものなんですよね。で、なんだろうな、ある種のよく生きるための技術みたいな、自分の行動や意思決定を客観視して、コントローラブルなものに集中して、うまく自分の気持ちとやっていくための技術みたいなやつなんです(これがすべてではないですが)。

そのルーツは、ギリシャストア派であろうみたいな本(ドナルド・ロバートソン 『認知行動療法の哲学』)があるんですけど、これが面白くて。今の哲学って世の中がどうなっているのかを解き明かす学問みたいな感じじゃないですか。ギリシャの頃って、ストア派は特にそうなんですけど、よく生きるための技術みたいな側面が大きかったんですよ。

iwashi:そこだけ言うと、バズリそうなタイトルですね。

藤村:確かに、よく生きるための技術。あ、でも、ストア派を元にしたよく生きるための技術みたいなビジネス書っぽいものも何冊か出てるんですよ。それで興味を持って読んだら、重要なことは全部エピクテトスが言ってて。俺は今まで何をやってたんだろう。ここに全部書いてあったじゃないか、みたいなのに辿りつきましたね。

iwashi:面白いのは、経験を積まないとそれのありがたさがわかんないんですよね。

藤村:なんなんですかね、これ。最初からわかっていたはずなのになっていう。

iwashi:書いてあったんだけど、読んだんだけどな、っていうのはいっぱいありますよね。

藤村:大人になるとわかるものって結構多いですよね。

問いや観点の仕入れ方

藤村:問いとか観点とか、面白いものの見方というかインサイトみたいなものって、どうやって仕入れてますか?

iwashi:一番多いのは、人と話してる中です。めちゃくちゃすごいなみたいな人が何人かいらっしゃるので、話してる中でそれはどこから知ったんですか?と聞いてますね。

藤村:なるほどな。濃度も高いし、リアルな情報が知れる感じですよね。

iwashi:そうなんですよ。世の中って汚染されてる口コミとかもあったりするんですけど、自分が信頼をおいてる人って、質が高いことをお話しされてると思うんですよ。例えば弊社に顧問として及川卓也さんが来てくださるんですけど、及川さんに紹介いただいた本は秒でポチって読んでいます。

藤村:人に勧められた本はとりあえず一旦買うのが重要ですね。

iwashi:いや、ほんとそうですね。今さっき藤村さんがお話されていた本も購入しました。

藤村:ありがとうございます。これが一番重要だよなぁ。

iwashi:でも買って読まない時もゼロじゃないので。

藤村:そう、買って読む率ってそんな高くないですよね。

iwashi:半分とか6割くらいかな。

藤村:僕もそのぐらいです。いつの間にか読む時がくるっていうのが、よくあるパターンかなって気がします。

iwashi:よく弊社のSlackで、買って積んでおくだけで、見えない電波により吸収できているみたいなことを言います。

藤村:それは実際ある…実際ないか。

iwashi:わからないけど(笑)。ただ本を積んで視界に入れるようにすると、ちょっと意識はしますよね。

藤村:それ最近課題感があって、自分の部屋の定位置から本棚がめっちゃ見えるんですよ。

iwashi:おお、いいじゃないですか。

藤村:結果自分の持ってる本棚に自分の考えがめっちゃコントロールされるんですよ。課題設定がその本棚になっちゃうんですよね。これを改造したら自分の考え方とか、何に課題意識を持つか変わるんじゃないかなみたいなのを思ったりする時がありますね。

iwashi:確かに。しかもわりと最近読んだ本とかに引っ張られやすいですね。

藤村:そうそう。大体自分の課題意識に沿った本が積ん読されているじゃないですか。これを眺めるとそっちにいっちゃうような、今考えた方がいいことって別にあったりもするのかもなと思っていますね。

iwashi:リモートワークが普及してから散々言われてますけど、本屋さんとかを歩く重要性ですね。

藤村:そうですね。本屋さん行きますか?

iwashi:大きな本屋さんに、たまに行きます。

藤村:僕もジュンク堂とかに行って、とりあえず面白いものを探して2万円分買うみたいなことをやっています。

iwashi:めっちゃわかりやすいじゃないですか。本の投資はパフォーマンスがいいですからね。

藤村:本棚で端から端まで眺めていると、面白そうな本って自分のその時の課題意識とか元々持ってた課題意識じゃないところから見つかったりするので。ランダムな刺激として自分の考えがわかるところもあって、重宝しています。

買ったけど読んでいないオススメ本

藤村:iwashiさん、最近買ったけど読んでない本でオススメってありますか?

iwashi:買ったけど読んでない本、絶妙なところをついてきますね。まだ読みかけの本が1冊あります。『Hard Facts.  事実に基づいた経営』っていう本を買いました。

藤村:どんな本なんですか?

iwashi:これですね、わりと事実に基づいて…これ難しいな。読んでないから説明が難しい。事実に基づいた経営をするためにはどうしたらいいか、どういう失敗が繰り返されてきたかみたいなところが書かれている気がするので、これから楽しみに読もうかなと思います。

藤村:実証性みたいな感じな話なんですかね。

iwashi:実証性はもちろんありますね。あとは世の中で誤解されているところを多分ていねいに説明してくれるんだと思います。

藤村:なるほどな。面白そうです。

iwashi:これはどこかで聞いて買いました。読んでない本、難しいですね。注文履歴見ればいいんだな。割と読んじゃっていますね。最近は消化率が高い方でした。

藤村:僕は『戦略サファリ』が飽きないで最後まで読めるか心配ですけど、長いので。

iwashi:ぜひこの論より動くもの.fmで読み終わった後に3分くらいで語る会をしてください。

藤村:ミンツバーグ『戦略サファリ』3分まとめ。むずかしそう。

iwashi:めちゃくちゃむずかしそうです。

脳内のデーモンをどれだけ切れるか

藤村:長期的な課題意識、長期的なテーマってありますか?

iwashi:長期的な課題、テーマか。やっぱり永遠に悩んでいるのは冒頭の僕の答えですね、企業変革みたいな。しかもちょっとJTCよりの企業変革はずっと悩んでますね。

藤村:会社の歴史系の本も面白いですよね。

iwashi:例えばどういうやつですか?

藤村:東芝の会計不正についての本(大鹿靖明東芝の悲劇』)を読んだんですけど、組織のダイナミズム、力学みたいなのを実例で読めるので面白かったです。しかもそれがある種のピカレスクロマン、悪い奴がめっちゃ悪いことするみたいな。クライムノベルではないですけど、そういう楽しみ方もできて面白かったです。

iwashi:実社会のイベントを後から振り返った系の本はめちゃくちゃ面白いですよね。たぶん10年後とかにTwitterの本が出ると思うんですけど、読みたいですね。

藤村:面白そう。銀行系だと北海道拓殖銀行の破綻の話をいっぱい読んだんですけど、面白かったですね。

iwashi:ふとした疑問なんですけど、そういうのって藤村さんの意思決定に反映されたりするんですか?

藤村:「Connecting the dots」ってあるじゃないですか。

iwashi:スティーブ・ジョブズのやつですね。

藤村:あれのエクストリームバージョンみたいな感じで、どこかで影響を受けている可能性はあります。基本的に直接的な知識が得られる本をそんなに読まないっていう趣味もあって、自分の思考様式を変革してくれる本を読むスタイルなんですよね。結果的にたぶん影響はしてるんだけど、体幹鍛えたらパンチが強くなったみたいな感じがしますね。

iwashi:なるほど。

藤村:僕は楽器を弾くんですけど、ナイキのトレーニングアプリでたまにトレーニングをしてて。体幹の可動性を上げるトレーニングをやると、わけのわからない動きをさせられるんですよ。でも、それをやった後に楽器を弾くと演奏がうまくなってる。

iwashi:可動域が増えてるからってことですね。

藤村:体を動かすに当たっての回路、神経の回路みたいなのがいい感じに温まったりしたんじゃないですかね。

iwashi:なるほど。

藤村:普段使っていないところを動かすための、大通りの回路みたいなのが活性化されるとか、それの周りにあるやつも良くなるっていうのが、もしかしたら起きてるんじゃないかみたいな。運動生理学の人の話をちょっと聞いてみたいですけど、そんな感じだと思うんです。物を考えるのもそういう側面があるなと思っていて、そういう意味では哲学とかは一般性が高いものを抽象的に論証するみたいな話なので、筋トレになってるんじゃないかなって思ったりしますね。

iwashi:なるほど。体をある程度動かした方が別の働きをするっていうのは、よくある散歩で思いつく系にも似てるかもしれないです。

藤村:それはあります。散歩、マジで思いつきますよね。あれは何なんでしょうね。

iwashi:散歩は本当に良いですね。余計なことを考えにくくなるのかもしれないですね。アジェンダを頭に1個入れて散歩して帰ってくる時には何かしらまとまってるっていうのは、最近よくあるやつですね。

藤村:それ、めっちゃやってましたね。一旦ドキュメントに箇条書きで、課題と背景をざっと並べて、あとは散歩して、途中でアイスとか食べて戻ってくると、だいたい片付いてるみたいな。

iwashi:本当に必要なのは、ブロックされたひとつのことを考える時間だったんじゃないかって、オチはちょっとありますよね。

藤村:それはそう。PCに向かってるとそういう考えが進まないんですよね。

iwashi:めっちゃわかります。ディストラクティブなデバイスですよね、PCって。こんなに集中できないものはなかなかない。

藤村:散歩って歩いてるからスマホもそんな見ないし。

iwashi:そうなんですよ。安全なところを歩くこと以外は意識しないですもんね。

藤村:あと推測としては、散歩って程よく脳の注意力を奪われるじゃないですか。歩かないといけないし、歩くって周囲の状況を認識しながら行動しないといけない。歩いてると景色も見えるから、景色の変化も自分の中では認知してるはずなんですよね。そのぐらいの負荷をかけておくと、頭はすっきりして働けるみたいな。座って目を閉じていると気が散るんだけど、そのぐらいの負荷をかけてあげると、逆に集中するみたいなのがあるのかも。

iwashi:確かに。Academy of Managementだったかな、どこかの論文に載ってたんですけど、スマホとか注意を引くデバイスが物理的に近くにあるだけで、人間の認知が下がっているみたいな結果を見たことがあるので。

藤村:めちゃくちゃわかる。ベッドにスマホ置いちゃいけないってやつですよね。

iwashi:そう、それと一緒です。

藤村:近くにあるとスマホ見ようっていう気持ちに脳が支配されますもんね。

iwashi:そうそう。デーモンが動いてるんですよ。スマホを見たいデーモンが動いてます。

藤村:デーモンをどれだけ切るかっていうのが重要なのか。

iwashi:-9で殺しまくるのは大事ですね。

藤村:脳のデーモンを殺す技術。

iwashi:余計なやつをね。

藤村:新書が書けそうですね。

難しいけど価値が高い問題に向き合う難しさ

藤村:iwashiさん、Kyashのkonifarさんの発表を聞いて面白かったって言ってましたよね。

iwashi:Kyashのkonifarさんが「VPoEとして1年、もっとこうすればよかった3選」っていう発表をされていて。3選の3つ目ですね。難しい課題から逃げない。解決の方法がわからないような難しい課題に向き合うっていうのが書かれていて。イージーだけど、なんとなく緊急性が高いのでやりたくなっちゃうのをグッとこらえて、難しいけど価値が高い問題に向き合う重要性って大事だなと思って。最近の仕事のステータスとも鑑みてぶっ刺さったスライドでしたね。

藤村:思うことはいくつかあるんですけど、まずある程度簡単に倒せる課題を倒すのって超気持ちいいし安心感あるじゃないですか。あれも罠ですよね。

iwashi:やった気になりますからね。

藤村:そうそう。自然と頭がそっちをやろうと働いちゃう。あと、解決の方法がわからない難しい課題って解こうと思うと解けないじゃないですか。

iwashi:解けないですね。

藤村:しかも基本的には成果もそんなに出ないし。

iwashi:失敗率も高いですからね。

藤村:そうなんですよね。どれぐらいトライして、どれぐらい失敗したかをむしろメトリクスにして行動しないといけないんじゃないかっていう。

iwashi:メトリクスにしてってところですが、メトリクスにすることすら超難しかったりするじゃないですか。

藤村:確かになぁ。メトリクスが何なのか、まずわからないですもんね。

iwashi:そうそう。それをどうやって計る?から始めますね。あるべき状態を考えて、それってどういう指標にあらわれるんだろうかを考えるだけで、結構な時間を使ってる気がします。

藤村:しかもそれを考えていると、難しい課題の元になっている上位の課題みたいなところについて考えがめぐって、難しいな、こんなところも繋がってるなみたいなのが見つかって、どんどん着地が難しくなっていきますよね。

iwashi:そうなんですよ。そういう時ってグラフを書くんですよ、システム思考っぽくなるんですね。この課題とこの課題となんか因果でぐるぐると回っていて。一方通行だったらわかりやすいんですけど、そういう時って状態遷移って双方向になるので。

藤村:しかも非線形な挙動を示す。

iwashi:まさに。

ゆとり vs DONEの魔力

藤村:仕事のジャンルで問題解決みたいな言葉で呼ばれるもの、問題解決力が重要って言われるじゃないですか。でも本当に難しい課題を解くのって、世に流通しているいわゆる問題解決力とは何か違うものが求められているなって思う時があるんですけど。

iwashi:めちゃくちゃわかります。いわゆるロジカルシンキングとかで出るような、売り上げを上げるためには、利益を上げて、コストを下げるみたいな、分解して、このKPIだねみたいなのはわかると。こういうのってある程度軌道に乗ってグロースしている時はいいと思うんですけど、そうじゃなくて、そもそもの問いが立てられない、そこを立てるのに時間がかかる問題がありますよね。

藤村:そもそもの問いは何なんだっていうのが一番難しい。

iwashi:その問いって本当にあってる?存在するんだっけ?みたいな検証が入りますよね。

藤村:この問いでいいんだっけ?をずっと思っちゃいますよね。

iwashi:最近の個人的なところだと、問いはなんとなく想像ついていて、思いつくものもいっぱいある、かついろんな業務を並行して仕掛かりでやってしまうとワークインプログレスが増えるじゃないですか。WIPを増やしちゃうとダメだなっていうのが、最近の反省でしたね。

藤村:そうなんですよね。脳のメモリが食われているとこういう考えって全然できない。それをやろうとすると、組織のエグゼキューションという面だと何もやってない人みたいなのが発生するというのもあって。

iwashi:確かにそうですね。

藤村:僕も本当は超暇な人になってないとやばいって、CTOは暇な方がいいじゃないですか。

iwashi:完全にそれが正解だと思います。

藤村:難しい問題が何なのかをちゃんと探してくる、難しくてインパクトがある問いを探してきて、定式化することが一番重要だと思ってます。けど、エグゼキューションの快楽から逃れられないですね。

iwashi:終えてタスクをDONEにするのは気持ちいいですからね。

藤村:そうなんですよ。

iwashi:トム・デマルコの『ゆとりの法則』っていう本があるんですけど、あれは組織や会社、マネジメントに対してもゆとりがないと、結局何も改善が進みませんよとあって。あまりに重要すぎて、常に目に見えるところに置いていますね。

CTOがゆとりになるっていうのもケースですし。僕も現在のポジションだと、イノベーションセンターっていう会社の中ではフロント最前線のプロダクトを作るというよりは、一歩引いたところなんで、会社全体で見るとゆとりのポジションなんですよ。なので、そのゆとりを活用して、いかに(俯瞰的に)改善できるかがミッションなので、忙しくなりすぎてはいけないなって思います。

藤村:忙しいですか?

iwashi:忙しくなりすぎちゃってるんで、最近反省してました。DONEの魔力に惹かれてたんで、振り返りしましたね。

藤村:忙しくなくするのって当然仕事を移譲するとか、形式化して誰かにパスするしかないじゃないですか。でもそうしきれるものでもない。結果的に何かを諦めないとゆとりは生まれない気もして。

iwashi:そうなんですよ。結局優先順位をつけないといけない。優先順位をつける難しさもありますからね。

藤村:そうなんですよね。ちなみに、iwashiさんは難しいこと好きですか?

iwashi:好きな方だと思いますね。

藤村:そうなんですよ。僕もすごい好きなんですよ。

iwashi:難しいから会社に残っているところはありますね。

藤村:僕も仕事でもプライベートでも、難しいこと探してますもん。こんな難しいことがあったとは!みたいな。

iwashi:大丈夫かな。今日ずっと難しいことを言い続けてしまったんですけど、不安になってきました。

藤村:難しいことが大好きな人たちの雑談。

iwashi:いつか具体性をあげた話をしたいんですけど、センシティブだから言いづらい問題があって。

藤村:そうなんですよね。

iwashi:出せるものがあればいつか喋りたいな。

藤村:自分たち用の娯楽コンテンツとしてはよさそうですけど、公開はできなさそうですね。

iwashi:公開できない。飲み屋トークですね、この先のやつは。

藤村:いつかやりましょう。

iwashi:いつかやりましょう。言えないやつがいっぱいあるので。

藤村:ということで、まだまだ面白い話はあるんですが、そろそろ時間ということで終わろうと思います。今日は、fukabori.fmのiwashiさんに来ていただきました。iwashiさん、ありがとうございました。

iwashi:ありがとうございました。ミンツバーグの回があったら呼んでください。

藤村:たしかに。ぜひやりましょう。

iwashi:ありがとうございました。

藤村:ということで、論より動くもの.fmを終わろうと思います。ありがとうございました。(完)

 

次回の更新をお楽しみに!

 

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