はじめに
STORES株式会社でエンジニアをしています id:HolyGrail です
2025年2月から4月頭にかけて、私たちのチームは普段のリモートワーク主体の働き方から一転、全員出社での開発を行いました。ミッションは、3月27日にリリースするSTORES の新プランの開発。店舗運営に必要な複数のサービスをまとめた新プランを低価格でリリースしました。
私たちのチームが担当したのは、複数のサービスダッシュボードを横断的に、違和感なく利用できる体験を提供するシステムの開発。1月に集まったばかりの新チームで、コミュニケーション密度を高めながら「3月末にリリースする」という明確なゴールに向かう必要がありました。
結果として、プロジェクトは無事3月末にリリースを完了。しかし、これは「出社すれば問題が解決する」という単純な話ではありません。今回は、2ヶ月の出社期間で得られた経験から、働き方の本質的な価値を振り返ってみたいと思います。
開発合宿のような2ヶ月間
振り返ってみると、この2ヶ月間は長期の「開発合宿」のような雰囲気でした。
最も特徴的だったのは「1day sprint」という働き方です。朝に全員で今日やることを共有し、15時頃に進捗確認と相談の時間を設け、夕方にその日の成果を報告する。この高速なサイクルが、まるで毎日が小さなハッカソンのような緊張感と達成感を生み出していました。
印象的だったエピソードとして、ある日、操作体験の悪いUIを改善するため、3人のエンジニアが丸1日かけて1つの機能と向き合っていました。「こうなんじゃないか」「ああなんじゃないか」と議論しながら、並行してガンガン実装を進めていく。私はその様子を横で見ている側でしたが、「今、本当によいものを作っている」という実感がチーム全体に伝播していくのを感じました。
ホワイトボードの前に自然に人が集まり、システムがどうあるべきか熱く議論する。ランチでは仕事を離れた雑談でメンバー同士の距離が縮まり、15時の相談タイムでは「今日中に終わらせるためにはどう進めるか」という熱意が共有される。まさに開発合宿特有の、創造的な熱気に包まれた日々でした。
(実際のメンバーの体験談は「突然始まった毎日出社──『仕事は自宅でするもの』派の僕に起きた変化」でも詳しく紹介されています)
出社で得られた本質的な価値
この期間を通じて見えてきた最も重要な価値は、「必要なときに必要なやり取りができる環境」でした。
リモートワークでは、Slackでメンションを飛ばし、返事を待ち、必要なら同期的に会話する時間を設ける。このプロセス自体は機能しますが、「ちょっとこれ見てもらえる?」という気軽な相談に対して100%のリアクションをすることは難しい部分も存在します。
出社環境では、隣の人の様子を見て「今なら聞けそう」と判断し、画面を指差しながら「ここなんですけど」と始められる。相手も手を止めずに「ああ、それなら」と答えられる。この自然な流れが、思考と実装の高速サイクルを生み出していました。
また、意思決定のスピードも劇的に向上しました。軽い相談から「これは認識を合わせた方がよさそう」となれば、すぐにホワイトボードの前に移動。図を描きながら議論し、その場で方向性を決定。このテンポの良さが、プロジェクト全体の推進力となっていました。
何より、チーム全体で「今、同じゴールへ向けて一緒に走っている」というグルーブ感を共有できたことが、高いモチベーションとクオリティへのこだわりにつながったと感じています。
出社を銀の弾丸にしないために
しかし、出社には当然デメリットもありました。弊社では「WORK LOCAL」という日本全国どこでも居住可能な制度を採用しており、地方に住んでいる社員も少なくありません。幸い、今回のプロジェクトチームは全員が出社可能な関東圏に住んでおり、2ヶ月の出社はチームメンバー全員の合意のもとで実施されました。それでも往復の通勤時間は避けられず、出社が前提となっていることによる体調不良時のメンバーに対する対応の難しさもありました。また、1day sprintは短期集中には効果的でしたが、長期継続には負荷が高すぎました。
大切なのは、出社で得られた価値の本質を理解し、状況に応じて再現する方法を考えることです。
「必要なときに必要なやり取りができる」という価値は、物理的な距離ではなく心理的な距離の問題です。例えば:
重要なのは、チームの状況、プロジェクトの性質、メンバーの特性に応じて、最適な働き方を選択することです。
おわりに
2ヶ月の出社期間によって得たものは非常に大きかったと考えています。しかし、それは「出社が正解」ということではありません。
私たちが本当に大切にすべきは、メンバー同士が気軽にコミュニケーションを取れる環境と、「よいものを一緒に作っている」という実感を共有できる文化です。それをどう実現するかは、チームごとに異なるはずです。
働き方に銀の弾丸はありません。でも、だからこそ、それぞれのチームが自分たちに最適な方法を模索し続けることに価値があるのだと思います。
皆さんのチームでは、どんな工夫をしていますか?ぜひ、経験を共有していただければ幸いです。
STORES では、このような柔軟な働き方を大切にしながら、一緒に「よいものを作る」仲間を募集しています。リモートワークも出社も、チームや状況に応じて選択できる環境で、お店の未来を一緒に作りませんか?
興味を持っていただけた方は、ぜひ採用情報をご覧ください。