STORES Product Blog

こだわりを持ったお商売を支える「STORES」のテクノロジー部門のメンバーによるブログです。

控えめだが否定しにくい、たしかな自信をつけるためにCTOがやってほしいと思っていること 【#2 論より動くもの.fm】

 

CTO 藤村がホストとなって、技術や技術にまつわることについてざっくばらんに話すPodcast、論より動くもの.fmの第2回を公開しました。今回は、CTO 藤村と採用広報のえんじぇるで、論より動くものとは何か、論より動くものに込められた思いについて話しました。

 


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テキストで読みたい方は下記からどうぞ。

論より動くものを出すのは難しい

藤村:論より動くもの.fmの第2回を始めます。

 

えん:お願いします。

 

藤村:今日はタイトル「論より動くもの」って何なのかを話します。heyのエンジニア組織は、今まで推奨する指針やスタイルがなかったんですね。そろそろあると意思決定も早くなるし、物事も進めやすくなるよねということで、去年テクノロジー部門のメンバーを巻き込んだワークショップを実施して、エンジニア組織のバリューを策定しました。

 

えん:はい。

 

藤村:バリューは6つあるんですが、1つが論より動くものです。それが何なのか、具体的にどういうことなのかを話そうと思います。

 

えん:6つのバリューをさくっと紹介してもらえますか?

 

藤村:1つ目は、技を縦に掘る。専門性を磨こうって話です。2つ目はイシューを問い直す。本当にやるべきことはなんだっけをとらえ直しているか。3つ目は、最短経路で価値を生む。目的に対して最短の経路で、1番効率的、1番いい方法でできているか。4つ目は仮説を仕込む。状況の観察や、観察のための仮説を仕込んだり、観察をしっかりできているか。エンジニアにとって重要なこと。論より動くものはこのあと話します。最後は、役割を越える。自分がやってることにオーナーシップを持っているか、そのために必要なものは自分の役割やチームの役割を超えてアクションできているか。

 

えん:なるほど。

 

藤村:今日は論より動くものの話をします。これが何なのかって話なんですけど、当初、頭に浮かんだのは「論よりプルリク」。エンジニアだったら議論するのもいいけど、動くもの出すのが1番早いし、尊いでしょっていうのが自分の感覚としてあったんですよね。


そりゃそうだってみんな思うところなんですけど、それが重要なのは自分の成長につながるから。自分の成長につながる以外にも、生産性があがることもある。なんで論より動くものってスタンスでやっているとエンジニアのレベルがあがるのかを話します。

 

えん:はい。

 

藤村:そもそも、論より動くものってその名の通り動くものを出そうって話なんですけど、動くものを出すのって結構難しいんですよね。いいアイデアはエンジニアをやっていると思いつくんですけど、だいたいそれを本番に出すまでに周辺知識や作業や仕事が必要になる。いいアイディアだけだとものにならない。

 

例えばフロントエンドだったら、UIの実装ができました。こういう風にこれを使ってこうすればうまくいくだろうってできたとしても、結局、フロントエンドOpsみたいな話があって、ビルドをどうする、バックエンドと繋がないといけないところも当然あるし、デザイン、ユーザー体験どうするっていうのもある。それを乗り越えないと、いいアイディアは本番にはでない。

 

その周辺知識がいるというのもありつつ、そもそも解こうとしている問題や課題に対する深い洞察や、使う技術への深い理解が必要になる。こちらも大変で、いけると思って実装したけど、無理でした、考慮不足でした、このツールはこう使えなかったということもある。最後まで突破するには、周辺の仕事も大変だし、仕事を最後まで仕上げるのも大変。

 

技術的なところで解決したとしても、そもそも仕事を前に進める力がいる。これはテクニカルじゃないスキルですけど、こうするといいなって思いついたとしても、本流というか、プロダクト開発や事業の流れってあるじゃないですか。

 

えん:そうですね。

 

藤村:こういうのが進んでいて、こういうのが重視されているみたいな流れがあって、そこにタイミングがあってないと、いいアイディアが入らない。タイミングを読んで起案しないといけない。

 

もしタイミングがなかったら状況をつくる、進めるためのネゴシエーションをしないといけない。やったほうがいいねという流れをつくる、そういう工作が必要になる。それをやるにあたっては、論より動くものといいつつ、論がちゃんと必要になる。結局よく考えた結果じゃないと入らないことがほとんどなんですね。考慮もれ、事業やプロダクト開発の流れにあってるあってないもよく考えないとボロが出る。その場だけロジックをちゃんとしててもうまくいかない。

 

仕事って人とやるので、人との関係も重要で、よく言われる言葉だと信頼貯金。この人がつくったり、提案しているんだからっていう信頼貯金。仕事をちゃんとやっているという仕事への誠実さも必要になる。

 

技術的なところも重要ですが、仕事一般を前に進める能力はプルリクエストをぽんと出すのに必要になってくる場面が多いなと思うんですよね。

 

えん:エンジニアリングに限らず、どの仕事をやってても、事業の流れがあって、それにかなうロジックがないと進まないというのは一緒ですね。

 

藤村:動くものできました、流れも掴んでますって状況でも、最後までやりきるのが難しい。実際に書き始めて、詰めようとすると形にならないパターンも多いんですよね。ぼくも手元にたくさんお蔵入りしたブランチが眠っている。定期的にこれは夢があったけど無理だったなぁと断捨離してます。

 

これはプログラミングあるあるなんですけど、うまくできたような感じがするんだけど、本番に反映しようとすると実は問題があるって場合も多い。コードは1回動けばいいものではなくて、継続的に動かし続けなきゃいけなくて、メンテナンスもしないといけないので。そういう実用に耐えうるようなものをつくるのも難しいんですよね。


というのもあって、論より動くものを最後までやるのは難しいというのはあると思ってます。

 

えん:難しいですね。

 

藤村:仕事一般でもきっとそうですよね。

 

えん:そうですね。エンジニアリングに限らない話をしているなと思って聞いていました。

 

論より動くものをやっていると、自分でも疑いようがない自信ができる

藤村:なんでわざわざバリューに入れているかというと、超重要だし、やるしかないと思っているんですけど、単純にこれをやらないと前に進まないから。突破するしかないんですよね。やってみると当初の案通りうまくいかない、関係ない技術領域にスタックして進まない、既存の実装と折り合わない。CIだけ通らない。なぜかデプロイができないとか、めちゃくちゃいろんなところで障害があるんですけど、突破するしかない。前に進むしかないと思っています。

 

エンジニアだと、そこまでいくとゾーンに入っていて、あらゆる問題をすごい勢いで解決したりするので、勢いで突破するのも大事だなと思ってます。この突破力は重要で、なんでこんな大変なことを、みんなにやってもらえるといいなと思っているかなんですが、事業観点で前に進むからっていうのはある。けど、それ以上に、この突破をやっているとめちゃくちゃ成長する。日々これをやり続けていると、本当に成長すると思っています。

 

なんでこの大変なことを乗り越えて突破すると成長するのか、身につくものが何かというところから話します。まず、その領域の深い専門性。その領域というのは事業ドメイン、プロダクトドメインもあるし、使っている技術の深い専門性も身につく。さらに、周辺の仕事も、技術的にもたくさんしないといけない。

 

例えば、最近自分もあったんですけど、プロダクトを作っていたらSSLの証明書発行の部分で戸惑った。時間がかかる、なかなかできなかったんだけど、結果的に突破するとSSLの証明書の作り方、ちょっと細かい、変わったものもできるようになったなと自信がつくし、経験もつめた。メインの論より動くもので出したいものの周辺も一度に習得できるのが大きい。それを毎日やっているとカバレッジがあがっていく。

 

あとは、仕事を前に進める力。仕事一般の話もしたんですけど、細かく毎日やるのは大変だけど、頻度高くやっていると経験値は増える。経験値は増えるし、いろんな状況での対応の仕方もわかる。仕事を前に進める力もカバレッジも広くどんどん身についていく。

 

最後にこれが1番重要なんじゃないかなと思っているのは、論より動くものでたくさん突破していると、あの問題はできた、この問題はできたという感じで、脳内に経験がストックできる。そのストックが別の問題に取り組むときに、引き出しからとってきて、色んなことができるようになる。脳内経験ストックの拡充になる。

 

そして、あの問題はできたな、という実績は自信につながります。これは重要で、僕個人の考え方かもしれないけど、自分の能力を自分で評価するときって実績しかない。僕はあまり自信があるタイプじゃないけど、細かく実績がたくさん積めていると、あれもやったしこれもやったし、と過去の経験からちょっと自信ができる。あの手の問題を解決することはできるだろうな、という、控えめだが否定しにくい、自分でも疑いようがない自信ができるっていうのは大きいなと思っていますね。

 

えん:経験してなくて、自信を持つのは難しいですよね。

 

藤村:論より動くもので動くものを出していると、確実な経験からの自信が少しずつできてくる。個人の考えですが、そういうものこそ、確かな自信といえるのではないかなと思っています。

 

えん:論より動くものをやり続けると、知識も深まり、経験も増え、カバレッジも増え、結果、これもできる、あれもできる、やったことがあるが積み重なって、自分もできるぞっていう。

 

藤村:そう。大変なんですけどね。論より動くものやるの。失敗することも多いし、最後までいけないことも多いし、思わぬものを突破しないといけない。でも、やり続けると自信になるし、自分の再現可能な力になるので、ぜひみんなにやってほしいなと思ってます。

 

というのが、論より動くものに込められた僕の気持ちですね。

 

えん:すごい込められていましたね。

 

藤村:まあ、そうですね。自分の体験からきてるのもあります。突破することでしか僕は自信がつかなかった。思い返してみると、これの蓄積部分しか自分で自分を評価できるものがない。だから、みんなもそうやって自信をもてる体験を積んでもらえるといいなって思ってます。

 

えん:ありがとうございます。次回はどなたかメンバーの方と一緒に話したいですね。

 

藤村:そう、ゲストトークが楽しみですね。


えん:今回はこれで終わりましょうか。

 

藤村:論より動くものfmの第2回を終わります。論より動くもの、むずかしいけど喜びがあるよね、ていう話でした。みなさんも細かく、小さいものでもいいから動くものだして、経験値をためて、自信を少しずつ増やしてもらえると嬉しいです!第2回ありがとうございました!(完)

 

次回の更新をお楽しみに!

 

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