STORES Product Blog

こだわりを持ったお商売を支える「STORES」のテクノロジー部門のメンバーによるブログです。

AIはコーディングがよくできるアルバイト/自分が仕事を楽しんでるかを考えることもマネージャの仕事【ep.34 #論より動くもの .fm】

CTO 藤村がホストするPodcast、論より動くもの.fmの第34回を公開しました。今回は2025年1月にVP of Engineeringに就任したhogelogと、AIコーディングと仕事の中の遊びの話をしました。

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VPoEになってどうですか?

藤村:こんにちは、論より動くもの.fmです。 論より動くもの.fmは STORES のCTO 藤村が技術や技術じゃないことについてざっくばらんに話すポッドキャストです。今日は今年からVPoEになったhogelogさんに来てもらいました。こんにちは。

hogelog:こんにちは。

藤村:最近はどうですか?

hogelog:さすがに忙しくなってきていますね。VPoEになったのが今年の1月で、先週1週間お休みいただいたんですよね。*1これはVPoEという役割をいただくことがわかる前から予定していた海外旅行があって。

戻ってきてからは積まれているものを自分でスタックしないようにとドタバタとやっています。まだVPoEになってから2ヶ月目なので、いろいろと回してるのが直近です。

藤村:もう2ヶ月経ちましたもんね。

hogelog:2ヶ月経ちましたね。

藤村:想像してるのと違いました?

hogelog:VPoEになると一旦手いっぱいになると思っていたんで、そこは違和感なくて。今はまずは全部を受け取って回していくぞってところですね。

藤村:最初はそうなりますよね。

hogelog:ここから徐々に人に渡していったりとか、自分の余裕を作っていくとかはあるかなって思いつつも、今はそんな感じでやってます。

藤村:早いもんだ。僕はICR(Intelligent Commerce Research)っていうエンジニアチームとは別の研究開発のチームを担当することになって、いい意味でも悪い意味でもあんまりエンジニアチームと関わりがないようにしてるんですけど、雰囲気と勢いが変わったなって見てて思いますね。

hogelog:ですかね。頑張ってます。そう見えてたらよかったです。

藤村:なんかあれですね、評価面談みたいな若干不気味な雰囲気になっちゃったな。

AIコーディングはものすごく手が早い学生アルバイト

藤村:最近プログラムがAIで書けるようになっているじゃないですか。プログラミングの未来をどう見てますか?目の前のトピックとしてはCursor便利だねみたいな話があると思いますが。

hogelog: 正直僕はそんなに言えること多くないなって思っていて、僕自身は最先端の技術に飛び込むファーストペンギンではない。世の中的に広まっている便利なものを周回遅れになりすぎない程度にちょっと触って、便利じゃんみたいな感じでやっているんですよね。Cursorとかも最近普通に使っていて、すごい便利だなと思ったり。いろいろなものを早く作れるとか、あんまりプログラミングをしたことがないような人でもこういうものがあったらサクサクと作っていけるだろうなって感じています。その程度の触り方であってもエンジニアの価値基準が変わっていくだろうなって感じていますかね。

藤村:変わりますよね。何が重要になるんだろう?

hogelog:AIを活用してプログラミングをする前は、ソフトウェアエンジニアの価値の出し方っていろいろあったと思うんですよね、コード量が多くてすごいと評価されている人もいたり。今でもあると思うんですけど、その価値はどんどん下がっていくだろうなって思いますね。

藤村:とにかく書くのが速い人ね。

hogelog:シンプルなところをスピードを出して物量がすごいって人は、AIコーディングツールを使った上でそういうことを進められる人がどんどん世の中に増える。当然のようにみなさんすごく速くなると思うので、物量で勝負している人は厳しくなるんじゃないかなと。

藤村:確かになぁ。

hogelog:昔、ホームページを作るときにデザインをhtmlのコードにすることを仕事にしていた人がいっぱいいたが、今はそういう仕事が世の中にいっぱい転がってるかというと、そんなことないですよねみたいな。そんな感じでなくなっていくんじゃないかっていうのはありますよね。

藤村:htmlのことを考慮してないデザインカンプをhtmlに高速にレンダリングしてたなぁ。ちなみに僕は得意でした。

hogelog:僕も嫌いじゃない仕事だったな。htmlタグを一つずつ手書きしていて、手書きって大変だなと思っていたらZen Codingが出てきて、htmlが高速に書ける、うれしい! なんて、昔はそんな素朴なことで喜んだりしていたんですけども。

藤村:この角丸をIE7でも動かすために、こういうSassの関数を作ってみたいな。

hogelog:っていうようなのがどんどん減っていくかなと。僕の見え方ぐらいだと、まだそういうようなところですね。意思決定の部分まで奪いにきてくれるかはまだあんまり見えてない。何を作ると、システムとシステムの間の繋ぎ込みをどうするのが全体のバランスとしてちょうどいいかとか、そういった難しさってソフトウェア開発の中でまだまだあると思うんですけど、良きように繋げてくれるとはあんまり思えてない。そこも奪ってくれるのはいつなんだろう、そのうちあるのか。

藤村:STORES って今バックエンドのシステムもクライアントもいろいろと繋がってるじゃないか。あれを全部コンテキストに入れてコード書くっていうのはさすがにまだAIにも難しいですよね。

hogelog:少なくとも今はまだ難しいだろうな。システム Aとシステム Bがあった時にシステム間通信をどうするかの方法なんていくらでも、どうとでもできて。ただそれを多数あるシステムの中で無邪気にやっていくと、複雑にあちらとこちらが絡みあってどこをいじるとどう変わるのか、わけがわからない巨大システムになりかねない。システム間通信って、STORES でいうと、大きいひとつのWebhookを使って通信している。そういった交通整理をしながら、システム間通信を考えたり、実装したりするわけですが、交通渋滞が起きないようにつなぎこむこととかが仕事の中でよく直面する難しい課題だったりするんですけども、 まだそこはAIがもらってはくれなそうだなっていう感じがありますね。

藤村:都市計画みたいなやつですよね。

hogelog:そうですね。今のAIのソリューション君たちだと、素朴にこうやったらできます よって言ってくれるんだろうなって。その時々、そうやったらつなぎこみできるよねっていうものを出すぐらいはやってくれると思うんですけど、都市計画まで踏まえたものはまだ難しそうだな、今後どうなのかなって感じです。

藤村:逆に言うと、一番難しい仕事は残って、一番難しくない仕事が高速になる。我々は一番難しい仕事だけで忙しくなるってことなんですけど。

hogelog:最近よく世の中でも言われてますけど、よし、こうやったらできるだろう!という黙々と書いていく楽しい状態をAIに奪われて、難しい課題に向き合ったり、難しい意思決定のボールだけが任されたり。難しい意思決定っていうのは、大体AIが答えを出せない、答えが定まってない課題のどちらを選びますかみたいな。決めなきゃいけないところだけを任されるのかもしれない。

藤村:それこそ意思、自分の哲学、美学みたいなものが問われるっていうふうに言うとかっこいいけど、ぶっちゃけそういうのだけを1日8時間エンドレスで考え続けると、頭が爆発しますよね。最近、Cursorのエージェントでガンガンコード書かせてるんですけど、プログラマは1日8時間全力でコード書けない問題あるじゃないですか。

hogelog:ありますよね。

藤村:それよりもさらに持久しない。めちゃくちゃ頭が疲れるなって。

hogelog:ちょっとこの問題でふと感じたのは、意外とエンジニアマネージャーみたいな仕事と似たものがあるかもなって思ったりしました。

藤村:どういうこと?

hogelog:プログラミングがものすごくできて、手が早い学生アルバイトの人がいるとします。 学生アルバイトなのでプロダクトとか開発に関わる時間がパートタイムなんですよ。コンテキストを整理したり、タスクに落とし込んで渡さないと、うまくワークしてもらうのは難しいんだけど、渡したら超高速で仕上がってくる。このボールを渡したら、これぐらい作業時間かかるだろうから、それまでに次に渡す仕事のことを考える余裕ができるみたいな。

藤村:その余裕がなくなるね。

hogelog:それが今度はAIに対して発生している。どんどん次のボールを与えなければみたいな。

藤村:楽しいけど、大変だね。

hogelog:大変ですね。仕事の仕方も変わるというのもありますし。

仕事の中に遊びを作る

藤村:今日この収録の前にこんな話をしたいと言ってたひとつで、仕事の時間に遊びを作るっていう話をしたんですよね、それ重要だよなって話してたんです。

hogelog:そうなんですよね。今正直あんまり遊びの時間は作れてないんですけど、ただ一旦そうなるだろうなってのは思ってたし、今そうなってることにそんなに危機感は覚えてないんですが。

遊びとは一体何なのかって問われると難しいんですけど。VPoEっていう役職の仕事をいろいろとやっている中で、それをこなしつつも、誰からやれと言われたでもない、でもこれをやるべきだよなって思う、のびのびとした仕事をやった方がいいと思っていて。

マネージャーだとないがしろになりがちな人もいるんじゃないかと思うんですけど。エンジニアマネージャーって、メンバーに対してそれぞれ遊び的なこともトライできているかを考えると思うんですけど、そういうことを考えるような人であっても、自分自身に対してその時間を取ることはおろそかになりがちかなって思っていて。マネージャーはちゃんと自分を楽しませることも、自分が仕事を楽しんでるかを考えることも、職責の一部にあると思ってるんですよね。

僕は短期的にはそれをちょっとないがしろにしているので、ちゃんと自分が面白がることをやろうと思っています。やらなきゃいけない仕事も嫌いじゃないので楽しんでるんですけど、もっと自分を楽しませる変な仕事も時間の中で取らなきゃいけないなって思ってますね。

藤村:何か方向性を変えたりするタイプのアジェンダ設定って、ある程度、頭がフリーな時間にしか出てこないっていうのもありますよね。改めて自分たちがやっていることを見てみて、これで大丈夫かな?こっちじゃない?みたいな思考って、全く余裕がないと出てこないがちだったり。特に僕らエンジニアにはそういう仕事がありますよね。とりあえずこれ触ってみるかとか。

hogelog:触ってみないとわからないこととか、こういう感じでやるといいよなってことは多くあるので、マネージャー的なポジションなので、いろんな人のいろんな動きは見てたりしてるんですけど、見てるだけじゃなく、自分でガチャガチャとやってみないとわからないこと、やったらわかることっていうのはあるなって。 マネージャーを見ていても、自分の手を動かす時間も確保している人は、手を動かす時間はプレイヤーより少なくても大きな変化をしている。(自分の手を動かすことは)絶対大事だよなって、最近強く思い直したところです。

藤村:hogelogさんがガチャガチャ触るって言ったけど、それ重要ですよね。しかもそういうのって別に自分は今タスクがこれで、ガチャガチャ触るリストはこの順番なので、これからガチャガチャ触りますってしないじゃないですか。

hogelog:しないですね。

藤村:これだなって思ったものを気がついたら触ってるみたいな、それで分かったりするんだよね。しかもこういうのは別にカレンダーに時間を入れたらできるってものでもないんだよな。

hogelog:「作業時間」って。そういうこともトライしたらいいのかもしれないですけど、どうなんでしょうね。

藤村:僕もそれはずっと悩みながらやってるかもしれない。ちょっと手元が落ち着いたら2日間ブロックして、場所を変えて一人合宿とかもおすすめです。

hogelog:そうですね。これぐらい忙しくなることがわかった後での遊びの作り方はちょっといろいろトライしてみなきゃなって思ってます。

藤村:という感じで、今日は最近の話、AIコーディングの話と仕事の遊びを、今年からVPoEになったhogelogさんに来てもらってお話しました。hogelogさん、ありがとうございます。

hogelog:ありがとうございました。

藤村:#論より動くもの で、ご感想お待ちしてますので、ぜひツイートしてください。

hogelog:待ってます。

藤村:STORES では僕らと一緒に働いてくれる、楽しくコードを書いていいものを作る気持ちのあるエンジニアの方を募集しているので、ぜひご興味があったらhogelogさんや僕にご連絡をいただいたり、応募していただけると嬉しいです。ということで論より動くもの.fmを終わろうと思います。ごきげんよう。(完)


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*1:編集注:収録は2月末です